THE ICONS

THE MAXI DRESS

イタリア『Grazia』誌のファッションディレクター、ケニヤ・ハントがマキシ丈ワンピースに夢中になったきっかけと愛を語る!

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Woman in workwear clothing

マキシ丈ワンピほど世間に低く評価されているアイテムはないと思う。ファッションに精通する女性でさえ、ビーチで1年に1回着るかBOHOルックとして時々に着る程度ではないだろうか。とにかく必要以上の過小評価には納得がいかない。

私がマキシ丈ワンピースの魅力に目覚めたのはバレエダンサーを目指していた16、7の頃。テレビでアルヴィン・エイリーのバレエ作品『CRY』で黒人バレエダンサーのジュディス・ジャミソンが踊るのを見たときだ。彼女の衣装はふたつ。ひとつは背中が大きく開いたシンプルな長袖の白いレオタード。もうひとつはアイボリーのボリューミーなロング丈のスカートだ。スカートはまるでそれ自体が命を持っているように生き生きと宙を舞っていた。私にはふたつの衣装がひとつの衣装として強く心に焼き付けられた。

そのスカートはジュディスとともに軽やかに舞い、アラベスクやデヴェロッペといったポーズに合わせてボディラインを美しく引き立てていた。それ以降、私はシャーリー・マクレーンのアカデミー賞ノミネート作品『The Turning Point』や、キャサリン・ダナム主演のミュージカル映画『stormy weather』など、ダンスムービーを手当たり次第に見るようになり、マキシ丈ワンピこそがダンサーの必需品なのだと確信した。

Woman in workwear clothing

4年前にヴァレンティノのドレスを着て英国ファッションアワードに出席した際、マキシ丈ワンピへの愛とダンサーを志した頃の自分自身が蘇ってきた。マーサ・グラハムやマース・カニングハムといったトップダンサーにインスパイアされたそのワンピースは、細身のハイネック、長袖でとらぺーずラインが足首まで続くデザインだ。着心地も最高で、歩くたびにヘムラインがふんわり揺れている。ワンピースを着てこれほど幸せな気分になれたことはなかった。あれ以来、私はあらゆるシルエットのマキシ丈ワンピースばかりを着ている。

2010年代に入ると控えめなスタイルが流行し選択肢の幅が広がった。それと同時に私のマキシ丈ワンピースへの愛はますます大きくなっている。2020年代の入り口に立った今も、その魅力は一向に衰える気配がない。プレーリースタイルやぺザントスタイルに始まり、外出自粛期間に自宅で着るリラックススタイルまで、様々なワンピースがマーケットを席巻している。CECILE BAHNSENをはじめ、あらゆるブランドがマキシ丈ワンピを提案していることからも、それは明確だ。

一般的にマキシ丈ワンピはワードローブの主力選手ではない。でも私にとっては、デニムやトレンチコート、カシミヤニットと同じく定番アイテムである。日中は派手なプリントや可憐でフェミニンなワンピースにヘビーなシューズをコーディネート。夏はトレッドソールサンダル、冬は乗馬ブーツというように。

私のマキシ丈ワンピースのコレクションはSIMONE ROCHA、MOLLY GODARD、MARA HOFFMAN、PACO RABANNE、REJINA PYO、PREENなど多岐にわたる。コーディネートはトレンチコートを羽織ってベルトを締め、レースアップのブーツを合わせるのが基本。もちろん、昼と夜で違うブーツに履き替えている。そして夏はシルクやチュール、シフォンなど軽やかに、冬は厚手のベルベットというように素材の違いも楽しんでいる。素材は変わっても、流れるようなシルエットや着心地の良さは変わらない。2人の子供を妊娠していた時はベルトをせずにマキシ丈ワンピを着ていた。今はダンススタジオで私の中に眠るジュディスの魂を解放できる日が来ることを夢見ている。