THE ICONS

THE LEATHER JACKET

英国のスタイルマガジン『The Face』のエディター、マシュー・ホワイトハウスがレザージャケットの魅力を語ってくれた。

Wedding pictures
Woman in workwear clothing

私にとって初めてかつ唯一のレザージャケットは、ルイスレザーのライトニング No.391モデルだ。注文したジャケットが届いて世界でひとつのジャケットと対面した瞬間の感動は、今でもはっきりと覚えている。

そのジャケットは半年前、ジョー・ストラマー基金のオークションでリッチな友人が私のためにルイスレザーのオーダー権を競り落としてくれたおかげで手に入ったものだ。それまでは自分がそんな夢のようなアイテムを手に入れる日がくるなんて考えてもみなかった。

断言できる。これこそ「真のレザージャケット」と言うべき逸品だ。生前のストラマーがThe Clash時代に着ていたものとまったく同じ仕様で、胸元とサイドに2つずつジップポケットが付いていて、ジップカフスとサイズ調整ができるウエストが特徴だ。サヴィルロウのスーツのようにオーダーしてから仕立てられるので到着するまで6ヶ月もかかったが、それ以来、片時も離すことができない存在になってしまった。

私が惹かれているのは、このジャケットが当時のカルチャーに大きな影響を与えた点だ。ライトニングジャケットNo.391が発表されたのは1958年。発表と同時に、当時のイギリスでは一般的であった単調な家庭第一のライフスタイルから抜け出すためのパスポートのような存在として崇められた。特にティーンネイジャーにとってはストリートファッションやギャングカルチャー、24時間営業のハイウェイカフェといった刺激的な世界のいわば入場券だったのだ。

私がこのジャケットを入手した2015年でさえもそのパワーは絶大で、プライドと栄光、英雄と威厳を放っていた。そして同時に、ツイードやニッカパンツとは対極にあるクラシックなワードローブの定番として絶対的なポジションを確立していたのは間違いない。

このジャケットを主役にしたコーディネートの中でも一番気に入っているのは、リーバイス501 (特に1954年モデル) とTシャツを合わせるシンプルなスタイルだ。レザージャケットはもはやユニフォームであり、ここ3年半ほどは毎日着ていると言っても過言ではない。そういえば、私が『i-D』マガジンから『The Face』に移籍したとき、編集部の全員がレザージャケットを着ていたこともあった。気がつくのに時間がかかったが、みんな今日は格好いいなぁと思ったことはよく覚えている。

Woman in workwear clothing

このジャケットを着ると、私は無敵になったような気分になる。これは私が患っている強迫性障害に一因があるかもしれないが、それ以前にこのジャケットには着る人にそう思わせるだけのパワーがあるように感じている。以前、ルイスレザーの現オーナー、デレク・ハリスにインタビューをした際、スウェーデンのロックバンド「ザ・ハイヴス」はツアーの前になると必ずメンバーがルイスレザーで自分専用のジャケットを誂えていた、と話してくれた。そして彼らはこのジャケットを『ロックの鎧』と呼んでいたのだと。今、自分が着てみると、このエピソードも納得なのだ。

今はコーディネートのバリエーションも増え、アディダスのスリーストライプのジョガーパンツを合わせるスタイルがお気に入りだ。足元はスニーカーかドクターマーチンのチェルシーブーツ。これで全体のイメージがグッとコンテンポラリーに仕上がる。また、ときにはニック・ケイメン風にデニムジャケットの上から羽織ってみたり、カシミアのプルオーバーと合わせてハードなイメージを和らげたりすることもある。

レザージャケットは、ランウェイにもしばしば登場している。最近ではアレキサンダー マックイーンが2022年春夏コレクションで発表したクラシックなライダースジャケット、ディースクエアードが2022年梅春コレクションにラインナップしたフィールドジャケット、そしてサンドロの2021年秋冬コレクションのボンバージャケットが印象的だ。

私のレザージャケットはオーダー仕立てなので、もちろん自分の体にフィットしている。今のトレンドを考えるとオーバーサイズがスタイリッシュに見えることはわかっているが、個人的にはジャストサイズが一番美しく見えると感じている。

また、パンデミックがもたらした混乱に疲れ果ててしまった私たちの心を癒すアイテムは、この“ロックの鎧”をおいて他にはないのではないかと思う。

Translation: Tatsuya Miura