THE ICONS

THE LOAFERS

自宅で過ごす時間が多かった2020年。イギリス人とフランス人を両親に持つインフルエンサー、ライター、ブロードキャスターのカミーユ・シャリエールがロマンティックコメディ映画に見出したローファーの魅力とは?

Wedding pictures
Woman in workwear clothing

過去の2度の大戦が終わるたびに世界中で衣服に対する意識が一新されたように、このパンデミックも現代人のファッション観に大きく影響を及ぼすだろう。私としてはスタイルが新しく生まれ変わることには大賛成だ。大きな意識改革(たとえばZ世代は、性に奔放な女性を“ふしだら”ではなく“革新的なフェミニスト”と位置付けるように)がなければ、いつまでもファッションのトレンドは代わり映えしないから。20世紀に巻き起こった変革の嵐の再来が近い。すべてが新しく生まれ変わる前に、真の定番アイテム「ローファー」の話をさせて欲しい。

安心感、クラシックなデザイン、隙のないスタイル――、セクシーではないものの、これこそがローファーが誇る最大の魅力である。ドレスを着て、ハイヒールを履いて出かける夜も恋しいけれど、スウェットパンツで過ごす平穏な日々に彩りを加えたい私にとっては、ローファーはまさに救世主なのだ。

恋愛と同じく、私とローファーのロマンスも、ある“出会い“がきっかけだった。それは、メグ・ライアンとトム・ハンクス主演の映画『ユー・ガット・メール』。ロックダウン中、往年のロマンティックコメディ映画で心の調和を保っていた私は、甘いノスタルジアで不安な気持ちを吹き飛ばしていたのだ。そしてこの作品を観て、メグ・ライアンのローファー姿が圧倒的に素敵だったいうことに改めて気づかされた。その瞬間、世界が求めているものは“お約束”的なアイテムなのだと悟った。

Woman in workwear clothing

靴紐がなく、いつでもスッと履けるローファーは、長らくワードローブの定番ポジションを確立している。1930年に誕生した歴史あるシューズだけれど、ここでそのうんちくを語るのも無粋なのでやめておこう。知っておくべきことは、ローファーが時代遅れになって履けなくなるような日は絶対に来ないということだ。

映画を観た次の朝、私はクローゼットの奥からローファーを引っ張り出して履いてみた。今、SNSで話題のスタイリングのようにジーンズの裾をカシミアの靴下にタックインして暖かいコートを着込み、カフェラテを飲みに階下へと向かって……、その後はずっとローファーを履いたまま。理由は単純、ローファーはフラットシューズのように履き心地が良く、さらにスタイルを洗練させてくれるから。まさに“見栄えの良いスリッパ”である。スニーカーよりも断然エレガントだし、ブーツに比べると圧倒的に着脱しやすい。特にこのご時世は家の中で履くのにも最適で、ちょっとした用事ならそのまま外出できてしまう。ヘイリー・ビーバーやケイティ・ホームズはローファー姿で運動がてら近所を散歩しているし、カーディ・Bに至ってはバスローブに合わせて外出していたほどだ。カーディ・Bはパンデミックの前の出来事だけど、その気分は今に通じるものがある。デニムのシルエットだって選ばないし、シンプルなテーラードパンツにも、ブラックのレギンスやくすんだ色合いのタイツでも、素足にさえもピタリとハマり、個性的なソックスやデザイン性のあるストッキングにも映える。ローファーはどんなスタイルにもマッチするのだ。

私はローファーとはおしゃれの “お約束”的な存在なのだと思っている。外出前にも悩むことなく、絶対的な安心感を与えてくれる靴。まさに予定調和のハッピーエンディングを届けてくれるアイテムなのだ。