幼少時代から、いわゆる女の子らしい少女ではありませんでした。私が育ったモンテネグロは自然が豊かなのでアウトドアやハイキングをみんなが当たり前に楽しんでいます。そのため、動きやすくてメンテナンスも簡単なショートパンツは幼い頃から私のワードローブに欠かせないアイテムでした。ある意味、自分の生活の一部といえるかもしれません。

世間的にはショートパンツはあまり重要視されず、熱狂的なファンもいないのが現実。でも、マストハブであることは間違いなく、女性のワードローブの中でショートパンツほどアクティブに動けるアイテムは他にないのではないでしょうか。シルエットも豊富で様々なスタイリングに対応できるのに、なぜかスルーされがちなショートパンツの価値は、今こそ見直されるべきだと思います。

パーカーからジャケットまで、ショートパンツはどんなアイテムにも合わせることができます。昔はショートパンツといえば少年向けのアイテムで、ボーイ・スカウトを通じてメジャーになりました。しかし1960年代あたりに素足を見せることがオシャレだという風潮が生まれると女性もショートパンツをコーディネートに取り入れるようになりました。ウエストを強調してスタイルをよく見せるデザインと夏のアクティブシーンでも周囲の目を気にする必要がない機能性を兼ねていることから、ショートパンツは定番のファッションアイテムとして定着しました。

ショートパンツのモダンなコーディネートはこれまであまりフィーチャーされてきませんでした。とはいえ、バカンスのワードローブに多くの女性がデニムのショートパンツを入れるのは、ショッピングからビーチでのリラックスタイム、バーでカクテルタイムまでをこの1着で対応できるからにほかなりません。デニムのショートパンツ姿でグラストンベリーのフェスに現れたケイト・モスやアークティック・モンキーズのライブをステージの裾で楽しんでいたアレクサ・チャンになった気分で屋外イベントに出かけた女性も少なくないのではないでしょうか。

ここ数年のサイクリングパンツがトレンド入りしたこと (スーパーモデルやZ世代のアイコンたちがお手本！) によって従来はエクササイズ用だったアクティブウェアが街着としても受け入れられるようになりました。つまり、たとえヘイリー・ビーバーやケンダル・ジェンナーの熱狂的なファンであっても、『The Crown』でエマ・コリン演じるダイアナ妃の見事なワードローブに心酔していても、サイクリングパンツが無敵のアイテムである事実は変わらないのです。黒のサイクリングパンツにオーバーサイズのＴシャツやセーター、スライドサンダルをコーディネートすれば誰でも簡単にスタイリッシュなカジュアルコーディネートが完成するのですから。

かつては酷評されていたショートパンツへのラブコールは、まだまだ止みそうにありせん。バミューダパンツも人気が再燃し、私としてはうれしい限りです。ボーイッシュでありながらクールなスタイルが昔からとても好きで、見るたびに90年代の夏の甘い思い出が蘇ります。ガニーのプリントセットアップはエフォートレスかつシックで、新しい街歩きに最適。「1日中ショートパンツで過ごしたから疲れた」なんていう話を聞いたことがある人はいるでしょうか？主張しすぎず涼し気なショートパンツは、いわばワードローブのマスターキー――、つまり、どんなスタイルにも見事にマッチするのです。

クラシックなテーラードスタイルのカイトのショートパンツはナイトアウトにぴったりで、カクテルシーンにもグラマラスな輝きを添えてくれます。ナヌーシュカのアイコニックなヴィーガンレザーのショートパンツは、ハイライズのシルエットも相まって、今や誰もが欲しがるベストセラー。要するにショートパンツは、今や都会の定番ファッションアイテムなのです。最近、私はボクサースタイルのショートパンツが気になっています。中でも2018年のCFDAアワードでカイア・ガーバーが見せたルーズフィットでマスキュリンなルックは、シンプルで着心地も良さそうな着こなしが最高にエレガント。まさに私好みのスタイルでした。

デートの夜にはリネンのショートパンツがおすすめ。今ではインスタグラマーたちの定番コーデといえますが、フェミニンなシルエットとマルチカラーのプリントをチョイスすれば、年齢に関係なく楽しむことができるでしょう。

この1年はラウンジウェアや無難な定番服ばかりがもてはやされましたが、そろそろドレスアップを楽しみたくなってきた頃ではないでしょうか。実用性と着心地のよさを兼ね備えたショートパンツで、残りの夏をエンジョイしてみませんか？