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THE ICONS

THE BIKINI

自由、太陽、バカンスを象徴する2ピースの水着。それは「夏」そのものと言っても過言ではない。今回は、ライター兼ブロードキャスターとして知られ、さらにインテリア業界でも第一線で活躍するルイーズ ・ローに、ビキニを選ぶ上で大切な条件を語ってもらった。彼女の選ぶパーフェクトスタイルにも要注目!

Wedding pictures
Blue cashmere sweater

「ビキニはバカンスへの期待を高め、非日常に思いを馳せ、束の間の自由を夢見る気持ちを呼び覚ましてくれる」――ルイーズ・ロー

ビキニについて書こうと思いながら、つい気分転換という名目でビキニを2着購入してしまった。まだ1段落も書き終えないうちに、リサーチと称して筆を止め、今年のバカンス用に水着を購入したのである。ただ、このブレイクタイムも記事を書くためのモチベーションになっていることはお伝えしておきたい。

世界中で太陽の光やビーチを堂々と満喫できなくなって以来、今年でもう3回目の夏が訪れようとしている。海で泳ぎ、一日の終わりに太陽の光が肌に残した感触の余韻に浸る――、考えるだけでもとろけてしまいそうだ。この夏、夫と私は家族4人でのビーチのバカンスを予約したが、今はビキニを買うことすら格別の意味を持っている。きっと皆さんも同じ気持ちだろう。ビキニを目にすれば、誰だって家族で楽しむバカンスにワクワクし、忙しない日常からの一時的な逃避に思いを馳せることだろう。そうして束の間の自由を夢見る気持ちを呼び覚まされるに違いない。

ここで知っておくべきは、ビキニが生まれたのは1946年だということ。それは長年の戦争から解放され、久しぶりの自由な夏を目前に胸を躍らせる人々の期待に応えるものだった。生みの親はフランスのデザイナー、ルイ・レアール。厳密にいえば戦後の配給制度による生地不足でお腹周りをカバーする分の生地を節約しただけなのだが、彼はパリのプールでショーガールのミシュリーヌ・ベルナルディにこの画期的なデザインの水着を着せてお披露目した。結果は想像に違わずスキャンダラスなものであった。中には、「あり得ない!」と叫んだマダムもいたという。ビーチではもちろん、映画の中でもパレードでも、ビキニ禁止が叫ばれたという。

しかしビキニを支持する層は確実に存在した。ファッション界に革新をもたらしただけではなく、女性が自分の肉体や性に対する考え方を見つめ直し、自己表現や自立に目を向けるきっかけになったという意味では、社会における女性の在り方をも大きく変える発明だったのだ。

Blue cashmere sweater

ありがたいことに、生地の配給問題はもう存在しない。ストリングがデンタルフロス並みに細いTバックも、現代では数あるオプションのひとつである。2人の子供を産んだ身としては、大切な部分はしっかりカバーし、胸にもカップが入っていて、かつスタイルを良く見せてくれるビキニが欲しい。さっきオンラインでチェックした限りでは、ヴィックス パウラ ハーマニーの花柄のトライアングルトップスに、オニアの黒いクレープ地のハイウエストのビキニパンツを合わせるのが良さそうだ。

ここで言っておきたいのだが、子供を産んだらビキニは着るべきではないという世の風潮が私は大嫌いだ。もちろん私だってワンピースの水着は持っているが、それはあくまでサブとして持っているだけだ。確かに年を重ねれば体型は変わるし、着たいと思うビキニのデザインも変わってくる。ストラップのないビキニトップスはもう着ないし、20代の頃に愛用していたサイドでストリングを結ぶローライズのビキニパンツも穿かなくなった。今はワイヤー入りのトップスやヒップをきちんとカバーしてくれるビキニパンツを選ぶようになった。つまり、自分に似合うビキニさえ見つければ、女性はいくつになっても魅力的でいられるし、堂々と振る舞うこともできるのだ。

ビキニを買うついでにリサーチをしてみたが、ビキニ関連の検索候補ワードを見て私のはらわたは煮えくりかえった。「何歳までビキニは着られますか?」――、もう時代は1946年ではない。そんな考えに囚われている女性には今すぐ『007』の初代ボンドガール、ウルスラ・アンドレスか、『リプリー』に登場するグウィネス・パルトロウを思い出して、太陽を全身に浴びて楽しむことをおすすめしたい。

最後に、水着を買う際の心得をひとつ。試着は短距離走ではなくマラソンのようなものだと割り切って、できるだけたくさん試してみてほしい。堂々と着こなすためにフェイクタン用のスプレーも買っておくのがいいだろう。この夏のビキニのスタイリングのコツは、ウエスト周りにサロンをアシンメトリーに巻き付け、オーバーサイズの白シャツやハイウエストのバミューダパンツを合わせ、足元はスポーツサンダルでカジュアルにまとめること。私の目下のお気に入りはメリッサ オダバッシュだ。ランチタイムには麦わらのハットを合わせるのもいいだろう。準備が整ったら、いざ、バカンスへ出発!