THE ICONS

THE INVESTMENT COAT

完全無欠の一生モノのコート。それは体型をうまく隠してくれるだけではなく、外的刺激から身体を守り、かつ温かく包み込んでくれる素晴らしいアイテムなのだとファッションジャーナリスト兼コラムニストのステイシー・ダギッドは力説する。しかし彼女によれば、1点あればよいわけではないらしい。ここでは、ステイシーがこの秋冬に向けて提案する“必要最低限”のコートのラインアップとは?

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Woman in workwear clothing

「究極のコートを見つける秘訣? まず自分の好きなフィット感や丈感を把握すること。その他の要素、例えば色や柄、素材は二の次です」―― ステイシー・ダギッド

私は秋が大好きです。気候がいいことよりも、ファッションの楽しみがあるから。もちろんサマードレスも素敵ですが、優れたデザインのコートほど魅力的なアイテムは他にないと思います。コートは女性にとっての鎧であり、プロテクターであり、自分を包み込んでくれるアイテム。パーティーでも街の散策でも大切な会議に出席でも、周りの人々の目を最初に引きつけるのは、あなたがまとっているそのコートなのですから。コート選びさえ間違わなければ、そしてそれを羽織りさえすれば怖いものはありません。マックスマーラのフルレングスのコートをパジャマの上に羽織って子供たちの学校の送り迎えをしてきた私が言うのだから、間違いありません。

私は、コートのコレクターと言っても過言ではないほどたくさんのコートを持っていますが、結論からすれば「仕事」「週末」「パーティー」の3つのシチュエーションがカバーできるラインアップがあればそれでOKだと思います。たとえば、私が映画『アニー・ホール』に影響されてベルト付きの膝丈ツイードコートは週末に秋の落ち葉が舞う街を散歩するのにぴったり。ロールネックのトップスや70年代風のミッドブルーのデニム、スウェードのショートブーツ、大振りのウールのストールとの相性が抜群なので着まわしやすく、とても気に入っています。

過去にはメンズウェアも愛用してきました。特にミリタリーテイストのコートは最高です。くすんだグリーンや濃いブラウン、ネイビーといったカラーパレットで、ショルダーのカッティングはシャープに、丈は長めで身体にフィットするシルエット。こんなコートに勝るものはないでしょう。ガブリエラ ハーストのディープグリーンのミリタリースタイルのコートがその好例です。

コートはその歴史を知ると、さらに愛情が深まります。ただ、コートの歴史は基本的に紳士服の歴史。現在、私たちが目にしているような女性用のコートは17世紀になって登場したのですが、当時はまだ何とか歩けて馬に乗れるような重たいアウタードレス風のものでした。その後、1880年頃になってフロアレングスのコートが登場します (おかげでパジャマ姿で子供たちを学校に送ることができました!) 。私はロングコートの裾がドラマティックに風になびく様子が大好きで、フラットブーツとのコーディネートに勝るものはないと思っています。

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2番目に好きな映画『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』のグウィネス・パルトロウを見て、私はこれからもずっと前髪をヘアピンで留めよう心に決め、同時に彼女が作品の中で着ていたフワフワのテディコートにも釘付けになりました。そのフェイクファーのコートは、いつの時代にも新鮮に受け入れられる永遠のアイコンとして、今では世界中の女性に愛されています。私のお気に入りは遊び心があってパーティーシーンにぴったりなシュリンプス。着るだけで心がリセットされて、誰にだってーーグウィネス・パルトロウにだってーー、なれるような気持ちになるのです。

どんなコーディネートでも嘘みたいに素敵に仕上げてくれるのが、膝丈の白いコートです。冬に着る白いコートはシンデレラに出てくる魔法使いの魔法に匹敵する効果があるので、ドライクリーニング代も惜しくはありません。あまりに素敵で街中で誰かに声をかけられるかもしれないので、心の準備も必要です。また、白と同じくらいあらゆる要素を明るく引き立ててくれる色が、赤。赤ずきんちゃんのようなポジティブで明るい色に挑戦するなら、今しかありません!

女性のワードローブの中で、コートは最も高価なアイテムです。究極の1点を見つける秘訣は、まず自分の好きなフィット感や丈感を把握すること。その他の要素、例えば色や柄、素材は二の次です。トレンドとは巡り巡るもので、過ぎ去ってしまったりリバイバルしたりするものですが、コートに限って言えば、トレンドに振り回されずに着ていて自分がどのような気分になるかを重視しましょう。私の場合、豹柄は絶対に着ないタイプなのに、アン・バンクロフトが映画『卒業』で着ていたチーター柄のコートを見て目覚めてしまった経験があります。そしてコートは、きちんと手入れしてあげることが大切です。私はより長く楽しむために、衣替えの前に必ずドライクリーニングに出しています。

コロナ禍にあった昨年の秋冬は例年とは違った特殊な状況でしたが、私は裏地のない、やわらかな仕立てのラップコートを思い切って購入しました。誰かにやさしくハグされているような着心地で、その時はそれこそが自分に必要だと思ったからです。でも今季は再び外出が楽しめそうな予感がするので、自分が主役になれるような、華やかなデザインに心が惹かれています。ショルダーに小さなケープが付いたデザインや、大振りのバックル仕立てのベルト付きやワイドなショルダーコートも気になる……。必要最低限のラインアップについて語るつもりでしたが、ひとたび大好きなコートのこととなると、あれもこれもと止まりませんね。