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ESマガジン編集長、ローラ・ウィアーが語るモダンな女性にとってのジャケットとは?

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Woman in workwear clothing

こんな経験がある人はいないだろうか――「好きな服があったら持っていって」と本心から言ってくれる親友のワードローブを物色していたら、ネイビーのジャケットが目に留まった。黒のパイピングを施したダブルで栗色のボタン付き。少しオーバーサイズ気味のシルエットはまるで映画『アニー・ホール』のヒロインのよう。『コールガール』でジェーン・フォンダが颯爽と着こなしていたトレンチコートにも通じるものがあるだろうか。ともかく、ハンガーにかかっているだけで完璧であることがわかる逸品だった。かっちりと作りこまれているわけでもないのに「私の人生は順風満帆!」と思い込ませてくれるような、私がそれまでに出会ったことがなかったタイプのジャケットだ。

だから私は迷わずそれを持ち帰り、今でも愛用している。数日前の取引銀行の支配人とのミーティングがうまくいったのは、このジャケットのおかげだ。だって、支配人は手で触って素材感を確かめながらこのジャケットを褒め続けたのだから。最先端のファッション業界の現場でもジャケットの評価は高い。着るだけで知的に見えるし何にだって合わせられる。身丈も袖丈も少し長めで肩は心持ちオーバーサイズ、デニムとも相性が良いジャケットはシックな女性と切っても切れない関係なのだ。フランス版『VOGUE』の編集者エマニュエル・アルト然り、クリエーティブ・ディレクター、アレックス・イーグルのちょっと砕けたリネンジャケット然り。フランス人モデル、カロリーヌ・ド・メグレの非の打ち所のないスレンダーなタキシードルックも好例だろう。

Woman in workwear clothing

優れたジャケットには見えないパワーが宿っていて、着れば自然と自信がみなぎってくる。常識にとらわれる必要なんてない。ジャケットは女性にとって親友ともいうべき存在なのだから、好きなように着こなすべきだ。

美しいジャケットはテーラリング技術の結晶でもある。デニムや異素材のパンツを合わせたジャケットスタイルの先駆者といえば、ジャクリーン・ケネディがまず思い浮かぶ。現代では元サセックス侯爵夫人のメーガン・マークルだろうか。ジャケットを武器としてうまく使いこなしているパワフルな女性もいる。たとえば女優のアンジェリーナ・ジョリーは国連の活動をする際にはジャケットをまとい、人道弁護士として知られるアマル・クルーニーも仕事ではジャケット姿を披露。トップモデルのエミリー・ラタコウスキーはオーバーサイズのジャケットにサイクリングパンツを合わせたルックで話題を集め、今もインスタグラムを賑わせている。ジャケットは自分のコーディネートに決定的なスパイスを求める私のような女性にとっては、いわば救いの神なのだ。編集部の私の椅子には今日もTibiのジャケットがスタンバイしている。急な打ち合わせが発生しても、このジャケットがプロの編集者である私に自信を与えてくれるのだ。そう、ジャケットは女性にとって最高の戦闘服なのだ。