シャツがまだ女性のアイテムではなかった頃、つまりキャサリン・ヘップバーンが白シャツルックを披露する以前はシャツといえば男性の職業的地位を示す記号だった。いわゆるホワイトカラーでもブルーカラーでも(いずれにせよ前提は男性なのだが)経済的に余裕がなければ白シャツを白く保つことは困難な時代だったからだ。今、女性が白シャツを着ることは違った意味合いを帯びている。21世紀流シックの定義とも言える矛盾する美学――例えば、几帳面なのにさばけている女性――を体現しているのだ。


それこそが日々のスタイリングに欠かせない白シャツの懐の深さを象徴している。現代において、私たち女性の人生はますます多様になった。だからこそ洋服はどんなライフスタイルにも素早く順応するものでなければならない。白シャツほど適応力が高いアイテムはないだろう。ジーンズにもハマる。タキシードスーツにも合う。前述のキャロリーナ ヘレラのプリンセススカートにだってマッチする。つまり、どんなアイテムにも見事に馴染むのだ。シモーネ ロシャの凝ったデザインやトムの斬新なまでにミニマルなシャツを例に挙げるまでもなく、数々のデザイナーがユニークな白シャツのデザインに躍起になる理由もよくわかる。